ハリ治療には、どんな効果があるのですか?
まず揚げられるのは、いわゆる『自然治癒力』を高める働きです。人の身体は『ホメオスタシス』恒常性の維持と言って、本来の正常な状態を保とうとする機能を持っています。弱ったところや病気があると自然にそうした機能が働き、自分の力で治そうとします。
ハリ治療はそうした『ホメオスタシス』の機能を高め、血圧や血液循環そして臓器などの働きをその人が持つ本来の正常な状態に戻すよう、身体に働きかけるのです。
これは『フィードバック現象』と言い、ハリ治療の一つの特徴とされています。また、ハリには痛みを抑える鎮痛作用があります。ハリをうつことで、脳に痛みを制御する物質が作られ、痛みが緩和されるものです。その他、炎症症状を抑える働きや免疫機能を高める効果も確認されており、西洋医学とはひと味違った効果があります。
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中国式ハリ治療とは、どういうものですか?
一般的に中国式は針がやや太く、日本式は細く『鍼管』を使って針を入れるという理解があるようです。これは必ずしも正しくはありません。中国式も、まだハリ治療に慣れていない人や敏感な人には、細い針を使用するからです。それよりもっと重要なのは、治療に対する双方の考え方の相違です。
日本のハリ治療は、法的にも社会文化的にも医療の補助あるいは民間療法的な色彩が強く「疲れたからハリにでも…」とか「ハリは怖いからあんまに…」など、というのが大多数の感覚だろうと思われます。従ってよりソフトな『はり治療』が好まれ、針も細く刺入する深さも2mm〜5mm程度というものが多く、結果的に治療効果も低いものにならざるを得ません。
それに対して中国式ハリ治療は、古くから漢方薬と共に医療の一分野を担ってきた歴史があり、治療的効果を第一に考える『医療としてのハリ治療』が行われてきました。従って使用する針も日本式の針に比べると、やや太めのものを選ぶ傾向にあり、針の深さも(部位によって違いますが)1.5cm程度の刺入が普通です。この深さは科学的にも最も効果的な深さとして、確認されています。
また近年の中国式では、針に低周波(パルス)を通す治療法が一つの特徴になっています。血行を良くしたり痛みを止める効果に優れ、同時に一定間隔で刻むリズムは身体と心をリラックスさせる働きも持っています。
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ハリは痛くないのですか?
痛みの感じ方は人によって違うので、簡単に言い切ることはできません。でも、思っているほど痛くありません。また、飛び上がるような痛みを感じることも決してありません。針を刺した瞬間にチクリとした軽い痛みを感じる程度だと思います。
ハリ治療が終わって、痛くなかった、思ったほど痛くなかったという患者さんがほとんどです。ただ、針を刺したとき、皮膚の表面ではなく、奥のほうに「響き」という反応を感じることがあります。響きは針を刺すときのチクリヒいう痛みとは違います。言葉で表すのは難しいのですが、針が刺さった都位から、重くだるい感覚か広がる感じです。響きは人によつて心地よく感じる場合もありますし、気持ち悪く感じる場合もあります。いずれにしてもハリ治療に伴ういい反応ですので、心配する必要はありません。
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ハリ治療は癖になりませんか?
ハリ治療が『癖になる』と思っている人は、意外に多いようです。ハリ治療は一定の刺激をツボに加えることで、その刺激が神経系や内分泌系など身体全体に作用し症状の改善を促す療法です。薬剤などと違い『習慣性』といった現象は起こりませんから、まずそうした『癖になる』という心配をする必要はないでしょう。
ハリ治療は、人の本来持っている機能を利用して色々な症状や疾患を緩和・治療するものです。一度ハリ治療で良くなった経験のある人は、再びそうした状態に陥った時、またハリ治療を受けたくなることはごく自然なことでしょう。特にハリ治療を受ける人の中には、現代医学では比較的対処し難いケースの方が割合に多く、それだけハリ治療を再び受ける機会が多くなるようです。それは丁度“美味しい料理を食べた後また食べたくなる”そんな現象に似ているのかも……。『癖になりソー!』そんな声があったのかも知れません。それだけハリ治療は効果があり、またそうあろうと私たちは努力を続けています。
(文責 井手 哲夫)
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